川崎康弘講演会:女満別湖畔の野鳥

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先週の湿生植物観察会に続いて、今回は、同じ自然に関わるテーマですが、館内での講演会を催しました。

講師は、日本野鳥の会オホーツク支部長の川崎康弘さん。川崎さんは、子供の頃から、野鳥観察に興味を持ち、地元の大学を卒業すると同時に、現在の支部長を担われたと伺いました。

200名を超える会を率いるのは、並の力量ではありません。まだ、お若いのに風格さえ備わっています。

この日は、22名ほどの出席でしたが、網走の祭りとの重合を考えると、数名のお子さんの参加もあって、盛況といえます。

講演は、写真をスライドで紹介しながら、時には、鳥の鳴き声を真似て演じながら、わかりやすく、しかも、野鳥への愛情を存分に感じさせながら和やかに進められました。


このページで紹介する写真は、当日に使われたものの一部ですが、川崎さんのご厚意で提供頂いたものばかりです。はじめは、女満別湖畔の野鳥の紹介には欠かせない、アオサギです。春先から、秋まで、よく見かけます。何よりも、注目したいのがアオサギのコロニー。私たちの愛する湿生林には、右側の写真のように、多数の巣が作られています。

アオサギたちは、ここから道東の各地へエサを求めて、また、パートナーを求めて飛び立ち、子育てに戻るという。アオサギの繁殖地なのですね。かれらの個体維持には、この湿生林は不可欠な存在なのです。


晩秋と早春に見られる、お馴染みのハクチョウです。女満別湖畔では、トマップ川河口付近に多数集まります。上の写真で注意してもらいたいのは、オオハクチョウとコハクチョウの違いです。右側の写真の手前にいるのがコハクチョウ。くちばしの配色に違いがあるとのことです。首の立て方では、わからないのでしょうか?

ハクチョウで有名な濤沸湖も含めて、こちらに飛来するのは、すべてコハクチョウかと思っていましたが、間違っていました。左側のオオハクチョウが多いようですね。これからは、その判別ポイントに注意して、観察してみたいと思います。


これもすぐにわかる鳥、オジロワシとオオワシです。恥ずかしい話ですが、これまで、これらの鳥の区別がつきかねていました。右側の写真には、尾羽が鮮明に白いので、こちらをオジロワシと思っていましたが、誤りでした。

左側のオジロワシは、晩秋につがいで高い木の上の枝に止まっているのが見られます。アップで鮮明に写真を撮った記憶があります。この湿生林にも営巣していると聴いています。

右側のオオワシは、1月から3月までのワカサギ釣り漁解禁の期間に、釣り人達が放り出す雑魚を狙って、高い木立から凍結した湖面まで、急旋回する姿をよく見かけます。いずれの鳥も、その勇壮な飛翔の姿が魅力的ですね。


これも、よくご存じのタンチョウです。タンチョウと云えば、釧路湿原、鶴居村が何といっても有名です。しかし、網走湖にも、とりわけ女満別湖畔にも、タンチョウの姿が見られると教えてもらいました。

少し前には、つがいで営巣し、子育てしていたとのことでした。最近は、その親鳥に代わって、別のつがいが飛来すると云います。まもなく、彼らが巣作りをして、子育てするようになると、ここが新たなタンチョウの繁殖地になる可能性もあるようです。

楽しみですね。是非、その優雅な姿を目にしたいものですし、出来れば、写真に納めたいですね。タンチョウ達の楽園に適う、豊かな自然環境を、これからもしっかりと保全していきたいものです。

こちらは、クマゲラとアカゲラです。樹皮をつついて、そこに隠れる虫を追い出して食べることで、お馴染みの鳥たちです。残念ながら、まだ、この湿生林では、お目に掛かったことがありません。しかし、木をつつく音は聞こえていますので、この湿生林にいるのは間違いないでしょう。

愛嬌のある小鳥たちです。講演会では、このような小鳥たちを数多く紹介してもらいました。全部で50数種超に及んだと司会者が報告してくれました。バードウォッチングの醍醐味の一つでしょうね。これらの小鳥の観察は…。

樹木のライフサイクルにあわせて、様々な鳥たちがこの湿生林に飛来し、営巣し、子育てして、飛び立っていく。そして、ここでしか見られない希少な鳥たちを求めて、世界から、バーダー達が、そのリッチさを存分に発揮しながら、この地へ集まるとも話されていました。

この湿生林は、自然にとっても貴重な存在なのですが、それに加えて、女満別を中心とするオホーツク地域の経済にとっても、きわめて価値の高い地域資源なのですね。より深く知り、その価値を共有する必要があります。学びましょう。

川崎先生、ありがとうございました。この講演を機に、女満別湿生植物群落のすばらしさとその価値を再認識して、野鳥達を通じた学習という、新たな視点を手に出来ました。また、いつの日にかの再会を楽しみにしております。ますますのご活躍を祈念しております。

最後になりましたが、ご自身も執筆に加わった、『14人のバードウォッチャーが語る、探鳥見聞録』、2010年、文踊社刊の図書を図書館に寄贈頂きました。ありがとうございました。謹んで、御礼申し上げます。


※)野鳥について、学ぶ際には、女満別図書館の上記の書籍を大いにご活用下さい。

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